駅徒歩30分|賃貸需要のない広大な未利用の土地を活用して相続人の納税資金のための収入源を確保

今回ご紹介させていただくのは、駅から遠い場所に自宅と、収益を生んでいない複数の土地を所有するIさんの事例です。

駅徒歩30分の距離に複数の広大な土地を所有していますが、収益を生み出している不動産は少なく、相続が発生した場合には代々受け継いできているこの土地を売却する必要があるのではないかと悩んでおられました。

また、収益を生んでいる物件は築50年を超える木造・連棟式長屋の物件で、現在の建築基準法では同規模の建物を再建築できない建物であり、賃料の低下も悩みの種でした。

土地の維持費と相続が発生した場合の納税資金の不安からご相談をいただきました。

この事例を簡単にまとめると、、

相続財産自宅
自宅から地続きの広大な土地(畑・未利用地)
木造連棟式長屋の賃貸物件
相談から対策完了までの期間約2年
問題点・土地は多いが収益を生んでおらず維持費もかかる
・収益を生んでいる物件の老朽化・賃料減少
・相続税納税資金の確保
実行案とその効果所有地を担保に法人での新規収益物件の購入
未利用の畑を市民農園として収益化
賃貸物件のリフォームで年間賃料53万円アップ
相続人は納税資金のための収入源の確保ができた
目次

収益を生んでいない不動産の相続に向けてのご相談時の悩み

  • 所有地は多いが収益を生んでおらず、維持費がかかる
  • 収益を生んでいる物件の老朽化による賃料減少
  • 相続が発生した場合、納税資金捻出のため自宅周辺の土地の売却が必要

自宅周辺に複数の広大な土地を所有していましたが、駅徒歩30分と便利とは言えない立地であり収益は生み出しておらず、唯一収益を生んでいる物件は築50年を超える連棟式長屋の物件で、賃料が減少してきているうえ、現在の建築基準法では同規模の建物を再建築できない物件でした。

また、自宅周辺の土地は畑としていましたが、専業農家でもなく未利用地が広がっており、生産緑地の登録もされていない畑が多くある状況でした。

所有する不動産が多いため、相続発生時には大きな相続税が発生することが予想され、できれば手放したくない自宅周辺の土地を売却する必要があるのではないかと懸念されていました。

収益を生んでいない不動産の相続に向けて検討すべきこと

  • 相続税の試算
  • 不動産からの収益と維持費の確認
  • 未利用地の活用方法
  • 納税資金の捻出方法

相続税シミュレーションと物件の収支把握

方針を検討するためにもまずは相続税額や考えられる方策についてシミュレーションを行い、収支予測を立てます。

この収支予測を立てずして相続人を含めた円満な話し合いは難しく、方針を決定するための重要な指標となります。

今回のケースでは、未利用地も多く、維持にかかる費用と納税に向けた資金の捻出に重点を置いてできる限り自宅周辺の土地を手放す必要のない方法を考える必要がありました。

提携している税理士事務所と連携をはかり、税務面でも抜かりの無い、今後とるべきアクションを検討するためのベースとなる収支計算書を作成しました。

未利用地の活用方法の検討

今回のケースでは、自宅の周辺に広大な土地を所有しており、大半の箇所を畑としていましたが、専業農家でもないので未利用となっている土地がほとんどでした。

生産緑地に登録している土地も一部はありましたが、その他の土地は固定資産税を垂れ流しており維持にも多額の費用がかかっておりました。

周辺街路の区画整理が進み、計画道路が所有地に面する部分に開通する計画もあった為、やむなく手放す際が訪れるにもそれまでは気合で維持したい!

このような状況を変えるため、土地に合わせて適切な活用の方法を検討することが大切です。

敷地が「広大地」と認定されると土地評価額が42.5~65%減額される

500㎡以上の地積がある土地は広大地と認められる可能性があります。
広大地と認められると、土地評価額が大きく減額され、相続税が安くなる可能性があります。
これは、広大地をエンドユーザーに転売する場合に土地を開発する必要があり、開発道路の設置により潰れてしまう土地や造成費用の負担があるためです。

広大地の評価額=路線価×広大地補正率×地積
広大地補正率 =0.6×0.05×(地積÷1,000)

広大地に認定されると、そうでない場合と比較して相続税を大幅に減額できる可能性がありますので、まずはあなたの土地が広大地に認定されるかどうかもご相談ください。

納税資金の捻出方法の検討

一般的に相続税の納税資金を確保するための対策としては、

  1. 相続財産の内、金融資産の割合を増やす
  2. 相続人の金融資産を増やす
  3. 相続人に金融資産を配分(生前贈与)する

などの方針を検討することになります。

相続財産の内、金融資産の割合を増やすためには、被相続人が持つ不動産を相続前に売却して現金に換えてしまう方法などが考えられます。

相続人の金融資産を増やす方法としては、相続税納税のための融資を受けることや、相続人を受取人に指定した生命保険の活用などが考えられます。

相続人に金融資産を配分する方法としては、法人名義で不動産を取得し、不動産収入を給与として相続人に分配しておく方法や、生前贈与などが考えられます。

実際に行った解決策

  • 未利用地を市民農園として収益化
  • 所有地を担保に法人で新規収益物件を取得
  • 築古収益物件のリフォームによる賃料アップ

今回のケースでは、所有している土地は広大ですが、収益を生んでいる物件は1つだけで、その他大半は自宅とほぼ未利用の畑でした。相続税の納税のためには代々受け継いだ土地を売却することも視野に入れていましたが、できれば売却はしたくないという相続人の意向を汲み、相続人に金融資産を配分する方法で対策を行いました。

STEP
所有地の色分けと未利用地の収益化

所有地をできる限り売却したくないという意向を汲み、土地ごとに区画整理事業や道路拡幅事業の業況を加味しながら将来の資産価値を概算試算しながら、必ず残したい土地と必要であれば売却の可能性もある土地の色分けを行いました。

また、未利用で維持費を垂れ流していた土地を市民農園として貸し出すことで若干の収益化を行い、維持費の垂れ流しをストップしました。

STEP
資産管理会社を設立

相続人に法人からの給与として金融資産を配分するため、資産管理会社を新設しました。

法人から給与として相続人に不動産収益を配分することで、不動産収入を納税資金として充当することができるようになります。

STEP
所有地を担保に融資を組み、収益物件を購入

駅から遠く収益を生んでいなかった所有地ですが、広大なその土地を共同担保に融資を取り付け、利便性の高い、賃貸需要の高いエリアに収益物件を購入しました。

相談から対策完了までの約2年間で3棟の収益物件を購入し、これらの物件からの収入を相続人たちに配分し、納税資金を貯めてもらいます。

また、将来万が一土地の売却が必要になった場合には、この物件を売却用地とすることで自宅周辺の土地の売却を防ぐ効果もあります。

STEP
既存物件の名義を法人に移し、リフォームして賃料アップ

築年数が古く賃料も下落していた連棟式長屋の物件も、最低限のリフォームを施し、賃料アップを行いました。

解決策の効果

  • 土地維持費の垂れ流しをストップ
  • 不動産によるキャッシュフローを年間約800万円改善
  • 相続人の納税資金のための収入源の確保

賃貸需要の低い土地を市民農園として貸し出すことや、土地を担保に融資を汲んで新設した法人名義にて新規収益物件の購入を行ったことで、今まで維持費を垂れ流しているだけだった未利用地を活用して、相続人に納税資金のための収入源を作ることができました。

不動産によるキャッシュフローは年間約800万円の改善が実現し、相続人への金融資産の分配が行えたことで将来相続が発生した場合にも自宅周辺の土地を売らずに済む準備ができました。

また、新規で購入した物件を収入源としながらも、将来万が一土地の売却が必要になった際、新規で購入した物件を売却用地とすることで、代々受け継いできた自宅周辺の土地を手放さなくてもいいよう設計しました。

さらに、掛け捨ての生命保険を活用し、万が一早期に相続が発生した場合にも相続人に保険料が入る仕組みを整え、代々受け継いだ土地を可能な限り残せるように対策いたしました。

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監修

宅地建物取引士|ファイナンシャルプランナー
新卒で大手ディベロッパーに勤務。用地取得や投資用物件の売買に従事し、経営企画に参画。その後独立し、宅建業者のアドバイザーを歴任。これまでに売買した不動産は100件を超える。

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