旗竿地のため建築のできない土地にマンション建築|等価交換により区分を取得
今回ご紹介させていただくのは、共同住宅の建築ができない旗竿地を所有するIさんの事例です。
中央線立川駅エリアで立地もよく、用途地域にも規模にも恵まれた土地であるため相続評価が高い土地ですが、接道が2m未満で接道義務を果たしていない旗竿地であるため、建物の再建築ができずに困っていました。
①:旗竿地で接道2m未満のため建築不可(相談者土地)
②:未接道のため建築不可
③:接道あり
④:接道4m旗竿地で建築制限あり
⑤:接道4m旗竿地
⑥:接道あり
これから相続も発生するであろう時期で相続税対策をしたい気持ちはあるものの、接道条件を満たしていないため共同住宅を建築することもできず、土地に愛着はありますが相続税を納税するためには当該土地を売却しなければならない。
しかし売却するにも接道条件が原因で相場未満の安価な金額になってしまうため売却にも踏み切れず、2人の相続人に分割する方法も思いつかないという状況でした。
この事例を簡単にまとめると、、
対象不動産 | 接道2m未満の旗竿地 |
相談から対策完了までの期間 | 約4年 |
問題点 | ・接道2m未満の旗竿地で建築不可 ・2人の相続人に平等に分割できない ・接道条件により単体での売却価格が大幅に減少 |
実行案とその効果 | 近隣住民と共同でマンションデベロッパーに土地を売却し、建築後のマンションの部屋を等価交換により取得した ⇒接道問題を解消し、土地の評価に見合った新築の部屋を確保 |
接道2m未満の旗竿地の所有者のご相談時の悩み
- 接道2m未満の旗竿地で建築不可
- 2人の相続人に平等に分割できない
- 接道条件により単体での売却価格が大幅に減少
相談者様の土地は下画像の①に該当し、中央線立川駅エリアの好立地で、用途地域にも恵まれているものの、接道が2m未満であるため建築に制限がかかっていました。
※北側(画像の上方)に大通りがあり、その大通りから20mまでが近隣商業地域に区分けされていました。
これから2人のご子息たちへの相続が発生することが分かっていますが、この接道問題があるせいでこの土地を活用したり、相場の価格で売却することができず困っていました。
実際に弊社でもこの土地を査定したところ、相続税評価額の60%程度の価格となってしまい、好立地で用途地域も良いだけにかなりもったいない売却価格となってしまいました。
旗竿地や狭小地も査定いたします!
近隣住民との交渉により土地の価格を上げて売却をすることも可能かもしれません。
うちの土地なんか、、と諦めないで一度弊社にご相談ください。
接道2m未満の旗竿地の所有者が検討すべきこと
- 接道が4m以上になるよう近隣所有者から土地を買えないか
- 接道が4m以上になるよう近隣所有者と土地を交換できないか
- 近隣所有者と共同でマンション事業ができないか
接道が足りない場合、近隣所有者からの土地の買取や土地の交換によって接道を4m以上にできないかを検討します。
ただし、大抵の場合で近隣にはすでに家屋が建築されていたり、塀などの工作物があることがほとんどの為、交渉は難しいことが多いです。また、困っていることで足元を見られ、相場より高い金額を提示される可能性もありますので注意が必要です。
今回のケースでも、②や③にはすでに家屋が建築されているため、土地を分けてもらうためには家屋を一部取り壊す必要があるため土地を分けてもらうことはできず、反対側の④の土地についても④から土地を分けると今度は④の接道が2m未満になってしまいます。
①:旗竿地で接道2m未満のため建築不可(相談者土地)
②:未接道のため建築不可
③:接道あり
④:接道4m旗竿地で建築制限あり
⑤:接道4m旗竿地
⑥:接道あり
①と④の敷地延長部分を位置指定道路にするにしても、これでは④にメリットがありません。
そこで今回のケースでは、近隣住民が一体となってマンション事業を行う提案をさせていただきました。
等価交換によるマンション事業で解決
近隣住民には未接道で困っている②や、4m接道とはいえ旗竿地で地型の悪い土地を所有していた④⑤を巻き込んで、共同でマンション事業を行う提案をさせていただきました。
この計画では、本来高層の建物を建てられる用途地域であるが接道状況のため建築が制限されていた④にもメリットがあります。
近隣住民への交渉の末最終的には③を除く①②④⑤⑥の所有者で共同敷地を提供してマンションを建築し、もともとの土地の価値に応じてマンションの区分を取得する「等価交換」を行うこととなりました。
等価交換事業は、この交換が本当に等価なのか、第三者の立場の不動産のプロの意見を参考にした方が良いです。
等価交換に参加するオーナーが多ければ多いほど交渉は複雑になりますが、参加するオーナーが1名だけの場合でも交渉はかなり長引きます。
今回のケースでも、弊社が等価交換に参加するオーナー様たちをはじめ複数のデベロッパーとも何度も何度も打ち合わせを重ねて等価交換事業を完了しました。
交換する不動産の価値の調査からデベロッパーとの交渉まで一人でやり遂げるのは困難ですので、まずはお気軽に弊社へご相談ください!
【用途境の土地に建築をする場合の制限】
・建物の用途制限:敷地面積の大きい方の用途地域が敷地全体に適用
・建蔽率/容積率:用途地域ごとの敷地面積の加重平均で算出※
・高さの制限:用途境をもってそれぞれ分かれて適用
今回のケースでは近隣商業地域に属する土地面積の方が大きいので、建物の用途制限は近隣商業地域の制限が適用されます。
土地とマンションの等価交換とは?
等価交換は土地活用の1つで、所有している土地をマンションデベロッパーに提供し、デベロッパーがマンションを建築後、提供した土地の価値に応じて建築後のマンションの部屋を取得する方法です。
等価交換により取得したマンションの部屋は、自身の住居としても、賃貸に出しても構いません。
また、もともとの土地の価値と取得した区分マンションに差がある場合は、差額分を現金で受け取ることができます。
解決策の効果
- 再建築不可の土地が新築のマンションになった
- 住み慣れた土地に住み続けることができた
- 相続時に1部屋ずつ分割して相続する準備ができた
ご相談前には接道2m未満のため再建築のできない土地で、相続対策のための土地活用もできず、2人のご子息にも平等に分ける方法がありませんでしたが、近隣住民と共同での等価交換事業を行うことで、住み慣れた土地で新築のマンションを2部屋と差額の現金を取得でき、相続時の平等な分配も可能になりました。
今回取得した部屋のうち1部屋を自宅とし、もう1部屋は賃貸に出すことで老後資金としての収入を得ながら生活をすることができるようになりました。
立川の好立地でありながらも相続に向けてどう手をつければ良いか分からなかった土地ですが、今回ご相談をいただいたことで同様のお悩みを持つ近隣の方も含めて、活用も売却も難しかった土地を活かせたことに喜んでいただけました。
土地は売却する形になりますが、同じ土地に無借金で新築マンションの区分権利が手に入ることになるので、ローンや資金の心配をする必要がないのが等価交換のメリットの一つです。
等価交換では土地は手放さなければならない点に注意
今回のケースのような等価交換では、マンション建築後に同じ土地に住み続けられますが、敷地の所有者ではなくなります。
一般的に交換により取得できるのは、部屋の区分所有権と、所有する部屋の広さに応じた土地の敷地権です。
土地活用の1つとしてとても有効な方法ですが、得るものと失うものをきちんと理解しておくことと、この交換が本当に等価なのか、デベロッパーだけでなく第三者のプロの意見も取り入れながら進めていくことをオススメします。
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[…] 等価交換事業についての詳細はこちらの事例で解説しております。 […]